一級建築士試験の合格率はなぜ低いのか探ってみた

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一級建築士試験の合格率はなぜ低いのか探ってみた

一級建築士の試験に挑戦しようと考えている方、またはすでに勉強を始めた方なら誰もが一度は思う疑問、「なぜ一級建築士試験の合格率はこんなに低いのか?」についてまとめてみました。

一級建築士試験は、ただの資格試験ではなく、受験者の知識、技術、そして責任感を試すものです。

この記事では、一級建築士試験の合格率が低い理由、合格する人の特徴、社会的役割、そして合格までの平均的な試験回数などについて詳しく解説しています。

一級建築士試験の合格率について知りたい、または合格に向けてのヒントを探している方にとって、有益な情報が詰まったこの記事をぜひご一読ください。

一級建築士試験の合格率はなぜ低いのか探ってみたイントロ
この記事でわかること
  • 一級建築士の合格率がなぜ低いのか
  • 一級建築士試験が難しい理由
  • どのような人がこの合格率の低い一級建築士試験に合格できるのか
目次

一級建築士試験の合格率はなぜ低い

一級建築士試験の合格率はなぜ低い
  • 一級建築士試験の合格率
  • 一級建築士試験は他資格と比較してどのくらい難しいのか
  • 一級建築士の社会的役割
  • 一級建築士試験の合格率が低い理由
  • 責任が大きい分年収も高くキャリア形成しやすい

一級建築士試験の合格率

まずは一級建築士試験の合格率を見ていきましょう。

こちらの表を見てください。

 令和元年令和2年令和3年令和4年令和5年
実受験者数合格率実受験者数合格率実受験者数合格率実受験者数合格率実受験者数合格率
合格者数合格者数合格者数合格者数合格者数
学科25,13222.8%30,40920.7%31,69615.2%30.00721.0%28,11816.2%
5,7296,2954,8326,2894,562
製図10,15135.2%11,03534.4%10,49935.9%10,50933.0%10,23833.2%
3,5713,7963,7653,4733,401
総合
合格率
12.0%10.6%9.9%9.9%9.9%
建築技術教育普及センターWebサイトより引用

平均すると学科試験の合格率が約19%、製図試験の合格率が約34%、総合合格率が約10%となっており、多少のばらつきはありますが、毎年同じような合格率となっています。

実際の合格者数を見ると、毎年約3,500名ほどの一級建築士が誕生しています。

令和2年に受験資格の改定があり、受験については実務経験が不要になったこともあり、受験者数が増えました。

しかし、製図受験者数はほとんど変わっていません。

このあたりはイレギュラーな印象を受けますが、学科試験・製図試験ともに毎年同じくらいの人数が合格するように調整されるのがこの試験の特徴です。

一級建築士試験は他資格と比較してどのくらい難しいのか

どのような根拠で数値が決められているかはよくわかりませんが、資格の偏差値ランキングというものをみつけたので、これで一級建築士が他の資格試験と比べてどのくらいの難易度なのかを調べてみました。

一級建築士は国家資格なので、同じ国家資格の中での比較となります。

偏差値資格名
77司法試験
77公認会計士
76司法書士
75税理士
74医師
74不動産鑑定士
67中小企業診断士
66一級建築士
65社会保険労務士
64土地家屋調査士
62行政書士
57宅建士
56二級建築士・木造建築士
55一級建築施工管理技士
資格の取り方より抜粋

このデータによれば、一級建築士試験は中小企業診断士や社会保険労務士と同じくらいのレベルの試験になっています。

偏差値のイメージですが、偏差値50というのは、例えば、40人のクラスがあったとしたらその中の第20位くらいのレベル。

偏差値66というのは、40人中第3位くらいのレベルとなります。

他の資格と比べても一級建築士試験がなかなかのレベルと言うことがわかります。

ちょっと意外だったのが、一級建築施工管理技士の偏差値。

一級建築施工管理技士はもう少し上だと思っていたので、この資格ホルダーの自分としてはちょっとガッカリ・・・。

一級建築士の社会的役割

以前、下記の記事の中でも書きましたが、

一級建築士は、建物を作るだけでなく、私たちの生活や自然環境に良い影響を与えるような建築を目指しています。

最近では、地球にやさしい「SDGs」という考え方が大切にされているので、一級建築士は、建物が長い間、周りの人々や自然にどう関わっていくかを真剣に考えながら建物を設計しています。

たとえば、電気をあまり使わなくても快適に過ごせる家や、どんな人でも使いやすい建物のことです。

また、その地域の特色や歴史を大切にすることも一級建築士の大事な仕事です。

地震や台風などの災害があった時にも、建物がしっかりと守られるようにすることや、何かあった後の復興の計画を考えることも、一級建築士の役割の一つです。

一級建築士試験の合格率が低い理由

一級建築士という仕事は、単に建物を設計するだけでなく、上記で述べたような社会に対して大きな影響を与える仕事を担っています。

よって、この仕事をする人は、数多くの知識と技術が必要で、なおかつ、強い責任感も求められます。

こうした背景から、一級建築士の資格を取得するための試験は、意図的に難易度が高く設定されているのです。

この厳しい試験を通過することによって、一級建築士になってから直面するであろう数々の課題に対応できるだけの力がありますよということを証明することになります。

このように、一級建築士試験の合格率が低いのは、単に合格者数を制限するためではなく、社会に対する責任を担える人材を選別するためです。

試験の難易度は、これからのキャリアで直面するであろう挑戦に耐えうるだけの力を身につけているかを試すためのものです。

もちろん、建築士の数が増えてしまうことによる業界内での仕事の取合いを考慮して合格者数を調整しているという見方もあります。

しかし、それ以上に重要なのは、一級建築士としての資質を確実に備えているかを確認することです。

一級建築士試験の合格は単なる通過点ではなく、個人が社会に対して大きな影響を与える準備ができているかを証明するものです。

そのためには、専門知識だけでなく、倫理観や責任感も同様に重要とされています。

これらの要素は、建築士がそのキャリアを通じて直面するであろう多くの挑戦に立ち向かうための基盤となるのです。

責任が大きい分年収も高くキャリア形成しやすい

これは余談になってしまうかもしれませんが、上記で述べたような責任の大きさもあって、一級建築士の資格を持つと、経済的にもキャリアの面でも大きなメリットがあります。

平均的に、一級建築士の年収は500万円から700万円とされており、経験やプロジェクトの規模、勤務先によってさらに上がることもあります。

特に大手の建築設計事務所や大規模プロジェクトに携わると、年収が700万円を超えることも珍しくなく、個人で設計事務所を経営すれば、さらに収入を増やすチャンスもあります。

また、企業内でのキャリア形成では、一級建築士は管理職や専門職への昇進に有利で、プロジェクトリーダーやチームマネージャーなどの重要な役割を任されることが多くなります。

さらに、独立して自分の設計事務所を開く道もあります。

これにより、自分のアイデアや創造性を活かし、独自の設計スタイルを確立することもでき、成功すれば、金銭的な報酬だけでなく、個人としての満足感や達成感も得られるのです。

合格率の低い一級建築士試験に合格する人たちについて

合格率の低い一級建築士試験に合格する人たちについて
  • 一級建築士に受かる人ってどんな人
  • 合格者は何回目の受験で合格しているのか

一級建築士に受かる人ってどんな人

一級建築士試験に合格された方の体験記を読んでいると、一級建築士に合格する人には、いくつかの共通点があることがわかります。

まず、スケジュール管理が得意な人。

一級建築士試験には、広範囲にわたる知識が必要で、限られた時間の中で効率よく勉強しなければなりません。

合格する人は、自分の苦手な部分を把握し、それを克服するための計画を立てて、毎日コツコツと勉強しています。

次に、継続して勉強できる人。

一級建築士の試験勉強は長期戦です。

仕事や家庭の事情で忙しい中でも、勉強を続けることができる人が、最終的には合格の喜びを手にします。

毎日の勉強が、やがて大きな成果を生むのです。

さらに、周囲に試験を受けることを伝え、サポートを得ている人も成功しやすい印象を受けました。

勉強に専念するためには、家族や友人、職場の理解と協力が不可欠。

周りの人に自分の目標を共有することで、理解や応援を得られ、勉強に集中しやすくなります。

また、自分の生活を見直し、勉強に集中できる環境を作り出す努力をしている方が多いです。

例えば、家事を簡略化したり、飲み会の誘いを断ったりして、勉強時間を最大限に確保しています。

勉強の場所を変えることで、集中力を高める工夫をしている人もいます。

一級建築士に合格するためには、知識を身につけるだけでなく、日々の生活の中でさまざまな工夫を凝らし、自己管理能力を高める必要があります。

目標に向かって努力を続けることができる人が、一級建築士の資格を手にすることができるのです。

合格者は何回目の受験で合格しているのか

いろいろ調べてみたところ、このようなデータが見つかりました。

合格者は何回目の受験で合格しているのか

上記データは資格取得エクスプレスというサイトからの引用です。

上記のデータによれば約75%の人が3年未満で合格を勝ち取っています。

試験回数でいうと2~3回目の試験で合格しているということになります。

ただ、「建築士」というくくりでのデータとなっているため、2級建築士受験者も混ざっている可能性があります。

自分が仕事でお付き合いのある建築士さんにも聞いてみたことがありますが、一発で合格したという人もいれば、4回くらい受けたという人もいました。

まとめ:一級建築士試験の合格率がなぜ低いか→社会的責任が大きな職務だから

これまでの内容を箇条書きでまとめます。

  • 一級建築士試験の合格率は平均約10%と低い
  • 学科試験の合格率は約19%、製図試験は約34%である
  • 毎年約3,500名が新たに一級建築士となる
  • 受験資格の改定により受験者数は増加したが、合格者数は大きく変わらない
  • 一級建築士試験の偏差値は66で、国家資格の中でも難易度が高い
  • 合格する人はスケジュール管理が得意である
  • 合格する人は継続して勉強できる力を持っている
  • 合格する人は周囲に試験のことを伝え、サポートを得ている
  • 一級建築士の社会的役割は建物だけでなく、社会や環境に貢献すること
  • 合格率が低い理由は、社会に対する大きな影響と責任を担える人材を選別するため
  • 合格までの平均的な試験回数は概ね1~4回である
  • 一級建築士試験の合格は、大きな社会的影響を担う準備ができていることの証明である

これまで述べてきたように、一級建築士に課せられる責任はとても大きいものです。

この責任を果たすことができるだけの基盤ができているかを見られているのが一級建築士試験。

なかなか高いハードルではありますが、この責任を果たすための修行と考えて勉強を続けていこうと思います。

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