少し威勢の良いタイトルをつけてしまいました。
かんに障ってしまったら申し訳ありません。
しかし、「一級建築士=勝ち組」という方程式が成り立たないというのは事実です。
世の中そんなに甘くはありません。
この記事では、この記事では、そのような勘違いが生まれる理由と実際の一級建築士の生活やキャリアの現実について深掘りしていきます。
また、資格取得後のキャリア形成において重要な考慮事項を詳しく解説し、一級建築士として真の成功を収めるための具体的なアプローチを提示します。
- 一級建築士としての職業が持つ世間的な華やかなイメージとその背後にある現実
- 一級建築士試験の厳しさと、資格取得後に求められる継続的な努力と学習の重要性
- 一級建築士として成功するための具体的なキャリア戦略と独立のポイント
「一級建築士=勝ち組」と勘違いしてしまう理由とその実態
勘違い理由その1 「一級建築士はモテる」という華やかな世間のイメージ
建築士としてメディアで取り上げられている人を見ていると、ファッション的にもライフスタイル的にもおしゃれな方が多いので、世間一般的に建築士はおしゃれな職業としてのイメージがあるようです。
自分も仕事柄一級建築士の方と接する機会も多いのですが、確かにおしゃれな感じがする人はいるし、こだわりが強い方も多い気がします。
また、一級建築士は、その高度な専門知識と技術で広く認知されており、一般的に信頼性の高い職業として尊敬されています。
彼らは、複雑な建築プロジェクトの設計から実施監督までを担当することができ、それには細かい注意と深い理解が必要です。
ただ建物をデザインするだけでなく、安全性、耐久性、利便性、美観を考慮した持続可能な環境を創出する責任も持っています。
社会的に見て、一級建築士はその職業的な倫理観と献身的な労働姿勢で高い評価を受けています。
これらのスキルはしばしばリーダーシップや創造性といった魅力的な特性として映ります。
それでなおかつ、おしゃれときたら、一級建築士が「モテる」というイメージができても無理はありません。
でも、これは氷山の一角。
多くの一級建築士がそうなれるわけではありません。
仕事が多くて忙しくされている一級建築士の方とお話ししていると人間的にも魅力を感じるし、物知りだし、話しているだけで圧倒されるものを感じます。
そのような方の元に仕事の依頼が集まるのは当然です。
この人に任せておけば、良い建物を考えてもらえると思ってしまうからです。
一級建築士資格を取っても人間的な魅力が劇的に増すかと言えば、そんなことはありません。
勝ち組になれるかどうかは資格ホルダーになってからの行動にかかっているのです。
勘違い理由その2 難しい試験を乗り越えたという実績
一級建築士の地位はそう簡単に得られるものではありません。
一般的によく知られていますが、一級建築士の資格を取得するには、厳しい試験を乗り越える必要があります。
この試験が難しいという点が勝ち組と勘違いしてしまう1つのきっかけになるのです。
試験合格のためには1年の大半を試験勉強に費やさなければなりません。
これだけ多くの時間を費やしても一発で合格できる人がかなりの少数派。
平均では3~4回の受験で合格する人が多いようです。
このように、多くの人が複数回受験してようやく合格を勝ち取れるのがこの一級建築士試験です。
こんなに難しい試験に合格できて、社会的にも責任ある仕事をするんだから勝ち組確定じゃん!
こう思ってしまっても無理はありません。
これほど難しい試験を突破して一級建築士になったとしても実情はそんなに甘くないのです。
一級建築士の平均年収
それでは一級建築士の実態を見ていきます。
平成元年調べのデータなので少し古いですが、厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査によると、一級建築士としての平均年収はおおよそ700万円程度とされています。
しかし、この数値は10人以上の規模を持つ会社における全国平均値ですので、地域や勤務先の規模によって大きく異なります。
たとえば、大手設計事務所や総合建設会社に所属している場合、年収はさらに上昇する傾向にあります。
しかし、現実には、小規模事務所やフリーランスとして働く一級建築士の年収は平均よりも低くなることが多いです。
一級建築士の家庭生活
一級建築士としての職務は、しばしば家庭生活に大きな影響を与えることがあります。
プロジェクトの締め切りが迫っているなどの理由で長時間の労働を強いられる機会が多いため、家族と過ごす時間を削らなければないこともよくあるのです。
これが家庭内でのストレスにつながらないようにするには、夫婦間での開かれたコミュニケーションが非常に重要です。
家庭と仕事のバランスを保つためには、予定の事前共有や家庭での役割分担の明確化が役立ちます。
これにより、予期せぬ仕事の負担が家庭に与える影響を最小限に抑えることができ、双方の理解と支持を得やすくなります。
また、効率的な仕事の進め方を模索することで、限られた時間の中でも家族と質の高い時間を確保することが可能になります。
さらに、定期的な家族会議を設けて、お互いのニーズや期待を話し合うことも、家庭内の調和を保つために有効です。
家族としての時間を大切にし、お互いの職業や役割に対する理解を深めることで、仕事と家庭の双方において満足感を高めることができるでしょう。
一級建築士としての職責を全うしながら、家庭生活を充実させるための努力は、家族全員の幸福感を高めることにつながります。
こんな人には「一級建築士受験やめとけ」と言いたい
上記で述べてきたように、一級建築士試験に合格して一級建築士になったからといって勝ち組に入れるわけではないのです。
勝ち組にいる建築士は資格取得後も常に継続的な学習を続けています。
もしそれができないのであれば、受験はおすすめしません。
資格取得にかかる負担が大きすぎるからです。
資格取得にはかなり多くの時間が必要になり、人によっては資格学校に通う等で、多くの資金が必要となります。
それだけの時間とお金をかけて資格取得するだけの価値を得ることができないからです。
取得後の自己研鑽ができる方と思う方だけ受験してください。
試験合格までにかかる負担は大きいですが、取得して自己研鑽を積んだあとには、大規模プロジェクトへの参加や専門分野での地位確立など、プロフェッショナルとしての地位が向上します。
これにより、通常よりも高い報酬や尊敬を得ることが可能となるのです。
このように、一級建築士として勝ち組に入るためには、資格取得後も積極的にスキルを磨き、業界内でのネットワークを築く必要があります。
勝ち組一級建築士に仲間入りするためのキャリア戦略
何を持って勝ち組と考えるか
ではここから、どのようにしたら勝ち組の仲間入りができるかを考えていきます。
これは一級建築士試験に限ったことではなく、弁護士試験や税理士試験といった建築士試験よりももっと難しい試験にも言えることですが、資格を取ったから勝ち組というわけではありません。
資格を取れたことでスタートラインに立てただけのことです。
問題なのはスタートラインに立ってからどのように走ればいいのか。
スタートラインに立っても走らなければ今のままだし、走ったとしても自分の行きたい方向を見定めて走らなければ、思い描いた終着地点にはたどり着かないのです。
このように、勝ち組と一言でいってもいろいろな方向性が考えられます。
ここでは経済的な視点と、自分が望んだことができているという視点の2つの視点にフォーカスしてみましょう。
一級建築士として勝ち組の年収に到達する方法
一級建築士として高収入、いわゆる勝ち組の年収に到達するためには、いくつかの具体的な戦略を立てることが重要です。
まず、専門分野での深い知識と技術を身につけることが基本となります。
特に、持続可能な建築やスマートシティプロジェクトなど、現代のトレンドに沿った分野での専門性を高めることが、将来的に高収入を保証する鍵となります。
さらに、キャリアを積み重ねる中で、大手企業への転職や国際プロジェクトへの参加を検討することも一つの方法です。
これらの機会は、より大規模で影響力のあるプロジェクトに関わることを可能にし、それに伴う高い報酬を得ることができます。
このような大きな仕事に関わる考えると、大手ゼネコンのような大企業に勤めることが一番の近道です。
大手ゼネコンであれば年収1,000万円は狙えます。
(参照)ユアターン転職スタディ 意外と年収の低い建築士。年収1000万円を越える方法とは?
大手企業であればライバルになる社員も多いため、入社して一安心というわけには生きません。
入社後にはライバルとの戦いが待っているのです。
そのためにも、上記で少し述べたように、入社したあともより専門性の深い知識と技術を身につけていく必要があります。
一級建築士として自分のやりたいことをやるために独立する方法
経済的には大手ゼネコンへの入社が勝ち組への近道になり得ますが、そこで自分がやりたいことができるかどうかはわかりません。
従業員として存在する以上やりたいことでなかったとしても、会社からの指示であればそれに従わなければいけないのです。
本当に自分の自由にやりたいことをやろうとするなら、独立して自分の事務所を構えるという選択肢が最も理にかなっています。
その仕事をするしないを自分で決めることができるからです。
まず最初に、しっかりとした市場調査を行い、自分の専門スキルが市場でどのように需要を持つかを把握することからはじめてみましょう。
自分の提供できるサービスがどのニーズに応えるものなのかを理解することで、事業の方向性を確実に定めることができます。
独立には適切な資金計画も不可欠です。
必要な初期投資の見積もりを行い、事業が軌道に乗るまでの運転資金を確保することが、ビジネスの継続性を保証します。
また、一級建築士としての資格を活かすためには、適切な事務所登録と法的な準備が必要であり、これらの手続きには正確な理解と注意が求められます。
クライアントとの信頼関係構築も、独立後の成功において極めて重要です。
効果的なコミュニケーション能力と広範なネットワークを築くことが、新たなプロジェクトの獲得と事業の成長に直結します。
さらに、独立開業初期は収入が不安定になる可能性があるため、リスクを分散させるための財務戦略も重要です。
これらのポイントに注意を払い、事前の準備を怠らないことが、一級建築士としての独立とその後の成功への鍵となります。
綿密な計画と積極的なアクションで、専門性を生かした充実したキャリアを築き上げていくことができるでしょう。
最後に:一級建築士として勝ち組の仲間入りをするには資格取得後の自己研鑽が不可欠
これまでの内容を箇条書きでまとめます。
- 一級建築士になれば勝ち組確定という誤解が存在している
- 社会的に一級建築士は信頼される職業
- 一級建築士の華やかな世間のイメージが勝ち組になったという誤解を招く原因になっている
- 一級建築士資格を取得したからといって人間的な魅力を増すわけではない
- 勝ち組になるには資格取得後の行動が重要
- 難易度が高い試験を突破した実績が勝ち組になれたと誤解する原因になっている
- 一級建築士の平均年収は約700万円とされている
- 地域や勤務先によって年収は大きく変動する
- 大手事務所、大手ゼネコンでは年収が高く、小規模事務所では低いことが多い
- 長時間労働が家庭生活に影響を与える場合がある
- 家庭内の調和を保つためにはコミュニケーションが重要
- 建築士として勝ち組になるためには主に経済的視点と自己実現の視点が考えられる
- やりたいことをやるなら独立を目指す選択肢の一つ